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リンゴツマキリアツバ


リンゴツマキリアツバ
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リンゴツマキリアツバ 翅の端に丸みがありません。 撮影日:2013/05/31場所:勿来の関

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リンゴツマキリアツバ 翅の端の形が上の蛾と多少違います。 撮影日:2011/07/22場所:勿来の関

 今日(2013年5月31日)観察したリンゴツマキリアツバを紹介します。
 この蛾の仲間ツマキリアツバ亜科の蛾は外の種類とは違った止まり方をします。翅を止まる面につけずに斜め上に上げて止まります。

 写真を撮ろうとして近付くと逃げられることが多い蛾です。

 アツバ亜科・クルマアツバ亜科や語尾にアツバと付く蛾は下唇鬚が発達しています。このリンゴツマキリアツバの下唇鬚(かしんしゅ)は,3枚目の写真のようにL字形に曲がっています。下唇鬚の様子を撮るには真上や真後ろからでなく斜め後方・横から撮ると上手く撮れます。

 勿来の関の周辺にはリンゴはありませんが,同じバラ科のサクラなら沢山ありますので,それを食餌植物にしているものと思われます。
 ツマキリとは翅の端(ここでは外縁の部分)が外側に丸みを帯びず真っ直ぐだったり,内側に凹んだりしている様子を表現しています。

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リンゴツマキリアツバ L字形に突き出た下唇鬚。 撮影日:2013/05/31場所:勿来の関

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リンゴツマキリアツバ 目の間にある茶色の物は口です。 撮影日:2013/05/31場所:勿来の関


五七五

翅の端に 丸みが無くて 端切りに

止まるとき 前縁上に 反り曲げる

アツバ類 変わった下唇鬚 持っている


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tag : リンゴツマキリアツバ

マダラトガリホソガとその近縁種


マダラトガリホソガとその近縁種
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マダラトガリホソガ 大きい触角が目立ちます。撮影日:2012/09/14 場所:勿来の関

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マダラトガリホソガ 眼が赤いのはカザリバガ科の特徴のようです。撮影日:2012/09/14 場所:勿来の関

 この蛾の名前はマダラトガリホソガといいカザリバガ科に属します。前翅長5mm程度の小さい蛾です。壁に止まっていてもごみが付いている感じで見過ごしてしまいそうな蛾です。でも,小さいからといって侮ってはいけません。奇麗な蛾もいれば,逞しい蛾もいるからです。
 マダラトガリホソガの食餌物は,多種に富んでいます。カキノヘタムシガの被害カキ果実、ワタアカミムシガの被害ワタ蒴、ミノガの袋、アシナガバチ類の巣、ハマボウ等が知られています。

 変わっている点の1つは,カキノヘタムシガの幼虫が食べた後のカキ果実を食べることです。新鮮なカキの果実はカキノヘタムシガが食べ,傷んだ果実の方をマダラトガリホソガが食べているのです。上手く食い分けているのです。
 変わっている点の2つは,アシナガバチ類の巣を食べることです。巣を食べられては幼虫を育てられません。そこで,占領されると脇にまた巣を作るようです。これについて面白い記事がありますので紹介します。
 「∑こんちゅーぶ!」の中の「キアシナガバチ巣に寄生したマダラトガリホソガ(蛾)の仲間の羽化」等合計3つの記事です。URLは下の通りです。
http://sigma-nature-vlog.blogspot.jp/2011/02/blog-post_8744.html
「∑こんちゅーぶ!」の中の記事を読んでいて,幸運なことがありました。それは最近写した蛾(3・4枚目の写真)の名前が分からないで困っていたのですが,その記事の中の写真にそっくりな写真があったのです。名前は未だ付いていません。「カザリバガ科マダラトガリホソガに近縁な未記載種(Anatrachyntis sp.)」だそうです。
この記事を読むまでに私は,マダラトガリホソガに大変よく似た蛾であるところまでは分かっていました。でも,違う点もありお手上げ状態でした。違う点を下に上げます。

マダラトガリホソガに近縁な未記載種の特徴
色が黄橙色。見た目は薄茶色なのに,なぜか黄橙色に写ってしまう。
触角の大きさが小さい。
 この2つの点が違うので,違う種だと考えていました。でも,「みんなで作る日本産蛾類図鑑」にも掲載されていないので分かりませんでした。
 ところで,この蛾の食餌物であるアシナガバチ類の巣は,勿来の関で見かけないのですが人目に触れないような場所にあるのでしょうか。それとも,ミノムシの袋も食餌物だというのでそれを食べているのでしょうか。ミノムシは建物の壁などに沢山います。
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マダラトガリホソガに近縁な未記載種(Anatrachyntis sp.) 触角が小さいです。撮影日:2013/05/29 場所:勿来の関

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マダラトガリホソガに近縁な未記載種(Anatrachyntis sp.) 何度写しても黄橙色になってしまいます。撮影日:2013/05/23 場所:勿来の関



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外の蛾と 柿の果実を 食い分ける

不思議なり 何度撮っても 黄橙

ハチの巣の どこに栄養 あるんだろ 

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クロエグリシャチホコ


クロエグリシャチホコ
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クロエグリシャチホコ 撮影日:2013/05/20 場所:勿来の関

 今日まで,これらの写真の蛾が何という蛾なのか長い間疑問のままでしたが,クロエグリシャチホコと判断できたので皆さんに紹介します。

 この写真の蛾はクロエグリシャチホコと思っています。エゾエグリシャチホコ・エグリシャチホコ・スジエグリシャチホコ等と似ていて長い間迷っていました。
 クロエグリシャチホコの特徴を上げてからそのように結論した理由を説明します。

①翅頂から外横線に向かう紋或いは線がある。・・・a
②aの紋の下に前縁に沿って白点が4つある。b
③cのように薄茶色の毛がある。フラッシュを焚くと白っぽく写る。
④cからdの外側には焦茶色の毛がある。
⑤eには白線がある。
⑥前翅は焦茶色である。
⑦黒い外横線がある。

 特に,重要な点は①の線(a)があるかどうかです。この線があればクロエグリシャチホコといってよいでしょう。この線がはっきりしていないときには②~⑦が該当すればクロエグリシャチホコだと思います。
cの部分の色はそのときの光の条件で白っぽく写るときがありますので,白っぽいのか薄茶色なのか実物と写真とを見比べる必要があります。私はこの部分の色にこだわり過ぎて同定ができないでいました。今年になってから,写した後で色を確かめたのです。すると,フラッシュが強すぎて白っぽく写ってしまうことが分かりました。
 そこで,ピントを合わせるときに懐中電灯で照らしておいて,シャッターを切るときに灯りを消して写真を撮るようにしています。そのようにしてからは実際の色に近くなり,進んでこの方法を使っています。
 因みに灯りを付けたまま撮影すると,光が強すぎて何を写したか分からなくなります。
 勿来の関のクロエグリシャチホコの前翅長は18~20mmありました。

yyzz2さんの虫撮記( http://d.hatena.ne.jp/yyzz2/20080118/p1 )には次のように出ています。
『蛾類大図鑑』では,体翅とも,前種(スジエグリシャチホコ)より黒色をおび,斑紋は不鮮明,後胸の冠毛の内面の毛は赤褐色,前翅の後縁も基部から中央部まで同じく赤褐色を呈する。(p.623)

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クロエグリシャチホコ 焦茶色でなく茶色の蛾。cが白っぽく写っている。 撮影日:2013/05/14 場所:勿来の関

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クロエグリシャチホコ
2017/5/18スジエグリシャチホコと判明。詳しくは2017/5/18のスジエグリシャチホコの記事をご覧下さい。
 撮影日:2013/05/27 場所:勿来の関

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クロエグリシャチホコ 床から上に上げたら暫く翅を開いていた。 撮影日:2013/05/20 場所:勿来の関


五七五

手がかりを やっと見つけた 黒い線

ライト消し 本物の色 出せました

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マエモンクロヒロズコガ


マエモンクロヒロズコガ
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 デジカメの画像を見ると白紋の形が円くなく台形のような形をしていました。これは未見の蛾だと嬉しくなりました。
 ところが,Web図鑑で検索しても見つかりません。2日前にシロモンヒメハマキを見つけているので,ハマキガ科ヒメハマキ亜科を探したからです。白紋の中にある褐色の縞模様をヒメハマキ模様と思ったのが間違いの原因でした。頭部が白いシロモンヒメハマキの仲間はカタシロムラサキヒメハマキしかいませんでした。この蛾はヒロズコガ科の蛾ですからヒメハマキ亜科を探してもいないはずです。
 見つからず,がっかりしました。こんなときには諦めて違うことをした方が良いのです。二日間分からずにいましたが,あるブログを見ているうちに見つけました。これでまた,見つけた種類が1つ増えたと嬉しくなりました。

 これから速く探せるようにヒロズコガ科とヒメハマキ亜科の違いを探しました。
ヒロズコガ科
触角を翅の下にして止まることが多い。
頭部の毛が白か薄黄色が多い。

ヒメハマキ亜科
ヒメハマキ模様(前縁に沿って並ぶ縞の模様)があるのが多い。
止まるときの触角の位置は,左右に開くか,「ハ」の字に開くことが多い。

 私が触角の位置が翅の下になっていて,しかも頭部が白いことに速く気が付けば良かったのです。

 この蛾の幼虫食餌物は動物の皮・鳥の巣だそうです。最初の写真で,胸部の上の白い毛が終わる辺りに見える茶色の小さな虫は,恐らくそれらの動物に付いていたダニだと思われます。

 名のいわれですが,ここでマエと言っているのは,前翅前縁を指しています。マエモンクロヒロズコガと呼ぶのは,前翅前縁に白い紋があり,全体的に黒っぽい蛾だからでしょう。

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触角が 翅の下にある ヒロズコガ

ポイントは 頭が白い ヒロズコガ

触角を ハの字に開く ヒメハマキ

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ヘリオビヒメハマキ


ヘリオビヒメハマキ
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ヘリオビヒメハマキ 外縁近くにも黒い斑紋がある。 撮影日:2011/09/27 場所:勿来の関


 昨日と同じ蛾ではありません。植物の世界にもよく似た種類があるように,蛾の世界にもよく似た種類が存在します。
 昨日はクロサンカクモンヒメハマキを取り上げましたが,今日はその蛾によく似たヘリオビヒメハマキを紹介します。クロサンカクモンヒメハマキそっくりな蛾なのです。

共通点
黒三角紋あり
白点あり
ヒメハマキ模様(前翅前縁沿いに黒い斑点が並ぶ)あり


違い点
①出現月
   9月(ヘリオビヒメハマキ)
   4月~5月(クロサンカクモンヒメハマキ)
②外縁沿いに黒い斑紋がある。(ヘリオビヒメハマキ)
③食餌植物
   ヘリオビヒメハマキはミズナラ・コナラの葉
   クロサンカクモンヒメハマキはミズナラの実やコナラの実

 外見上はほとんど同じですが,運悪く②で判別が付かなくても大丈夫です。
 春に見られるのはクロサンカクモンヒメハマキで,秋に見られるのはヘリオビヒメハマキだからです。

 名前にヘリが付いていますが,ここで指し示しているヘリとは外縁でそれに沿って黒い斑紋が帯のようにあるということでしょう。


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大丈夫 出現月で 区別でき

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クロサンカクモンヒメハマキ


クロサンカクモンヒメハマキ
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クロサンカクモンヒメハマキ 黒い三角・白い点・ヒメハマキ模様が全てそろっています。 撮影日:2013/05/04 場所:勿来の関

 これら3枚は,クロサンカクモンヒメハマキの写真です。ハマキガ亜科は個体変異が大きく同定が難しい蛾です。ハマキガ科ヒメハマキガ亜科の蛾には独特の模様があります。前翅前縁に黒の縞模様があれば,ヒメハマキガ亜科の蛾と分かります。この模様をヒメハマキ模様と言います。覚えておくと同定が速く進む大事なポイントです。
 ところで,この蛾はクロサンカクモンヒメハマキと名付けられているように前翅中央付近に黒い三角の紋があります。更に,その斜め後方にある白点が目印となって同定しやすい蛾といえます。しかし,雌は3枚目の写真のように無地なので同定は難しいです。ただ,白い紋がヒントとなって何とか同定まで漕ぎ着けました。

 このクロサンカクモンヒメハマキは,4月頃1回だけ出現する蛾なので,本種と酷似したヘリオビヒメハマキは秋にしか見られない点で区別できます。

 「みんなで作る日本産蛾類図鑑」では,幼虫の食餌植物はミズナラの実と書かれてあります。ところが,ここ勿来の関ではコナラはありますが,ミズナラは見られません。ですから,クロサンカクモンヒメハマキはミズナラだけでなくコナラも食べていることになります。

 クロサンカクモンヒメハマキは、ドングリではなく、ドングリの樹の葉っぱに産卵するそうです。 孵化したばかりの幼虫は、他の昆虫がドングリに開けた産卵孔等から侵入して、ドングリ を食べて成長するそうです。
 詳しく知りたい方は「堅果の中に潜む奇妙な虫 その1」を見て下さい。URLは次の通りです。 http://acorn.hiroimon.com/newpage16-1.htm

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クロサンカクモンヒメハマキ 4月下旬から5月上旬に見られました。 撮影日:2013/04/30 場所:勿来の関

 小さい頃,ドングリで独楽を作ろうとビニル袋に入れて置いたところやがて白い幼虫が出てきたことがありました。その幼虫が,このクロサンカクモンヒメハマキだったのです。ほとんどのドングリには小さな穴が開いていました。

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クロサンカクモンヒメハマキ 無地なので雌と思われます。 撮影日:2011/05/07 場所:勿来の関


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目印は 黒い三角 白い点


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ナシハマキマダラメイガとネアカマダラメイガ


ナシハマキマダラメイガネアカマダラメイガ
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ナシハマキマダラメイガ 身を乗り出して止まるのが癖になっています。 撮影日:2013/05/15 場所:勿来の関

 ・1~3番目の写真の蛾はナシハマキマダラメイガです。前翅長は10mmです。
 ・最後の写真の蛾はネアカマダラメイガです。(翅の端が無くなっています。)
 画像を整理していると大変よく似ている2種類の蛾が出てきました。一見すると同じ蛾に見えますが違った種類の蛾です。
 大きな違いが2つあります。
①翅の中央付近に白い縦筋がどちらの蛾にもあります。ナシハマキマダラメイ ガの方には赤橙色の紋があります。ネアカマダラメイガにはその紋がありません。
②下唇鬚がナシハマキマダラメイガは前に突き出ています。ネアカマダラメイ ガは斜め上にしています。

 「みんなで作る日本産蛾類図鑑」ではナシハマキマダラメイガの食餌植物が バラ科:ナシ、リンゴとなっています。
 でも,勿来の関にもその周辺にもナシ、リンゴを栽培している所はありません。あるのは同じバラ科のサクラ、ヤマザクラです。ですから,このナシハマキマダラメイガはそれらだけでなく,サクラ、ヤマザクラも食餌植物にしていると考えざるを得ません。

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ナシハマキマダラメイガ 下唇鬚が前に突き出ています。 撮影日:2013/05/24 場所:勿来の関

 ナシハマキマダラメイガの幼虫が葉を巻くのでハマキと付くのでしょう。
 ネアカマダラメイガの「ネ」とは「翅の付け根」を意味します。付け根付近が赤いからネアカと呼ばれるのでしょう。

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ナシハマキマダラメイガ 白い筋の隣に赤橙色の紋があります。 撮影日:2013/05/24 場所:勿来の関

【取って置きの情報】
 メイガ科とツトガ科が止まるときの触角の位置の耳寄りな情報は次の通りです。
2本の触角を背中に乗せて止まります。

 ですから,そのようにして止まっている蛾を見たら先ず,メイガ科とツトガ科をお探し下さい。

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ネアカマダラメイガ 翅の付け根が赤いのでネアカ。下唇鬚が斜め上に上がっています。赤橙色がありません。 撮影日:2013/05/13 場所:勿来の関


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ナシハマキ 橙色で 区別でき

下唇鬚を つんと突き出す ナシハマキ

ナシハマキ 身を乗り出して 止まります

メイガ科は 背中に乗せる 触角を

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シロモンヒメハマキ


シロモンヒメハマキ
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シロモンヒメハマキ 青い地色に黒い模様が浮かんで見え素敵です。 撮影日:2013/05/24 場所:勿来の関

 1枚目の写真の蛾はシロモンヒメハマキです。  前翅長 10mm
 2枚目の写真の蛾はコシロモンヒメハマキに似ていますが分かりません。
 昨日,白い紋がある小さな蛾が蛍光灯に止まっていました。高くて手が届かないのでススキの穂で下に落とそうとしたら逃げられてしまいました。
 大きい蛾ですと下に落ちるのですが,小さい蛾は飛んで逃げられる可能性があることは分かっていました。けれども,途中の窓ガラスに止まってくれるかも知れないと思い実行ししたのです。
 今日(2013年5月24日),もしかして灯りに飛来しているかも知れないと思い,建物の中をよく探し回りました。
 すると,柱の上の方に止まっているのを見つけました。逃げられないように初めは用心してフラッシュを焚かずに撮りました。3枚目からはフラッシュを焚いて撮りましたが,全然動く様子がありませんでした。
 デジカメで画像を見ると翅が青く写っていますので,ライトで蛾を照らし自分の目で確かめました。鮮やかな青ではありませんが,黒いまだら模様を埋めるように青黒い地が見えます。何か素敵に見えました。
 家に帰り「みんなで作る日本産蛾類図鑑」で調べると次のように出ていました。

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シロモンヒメハマキ 前翅前縁中央付近に白い鉤状の紋があります。 撮影日:2012/05/24 場所:勿来の関

 シロモンヒメハマキ
  ①白紋の始点が基部から遠く,ほぼ半円形をしている。
  ②白紋内の前縁でヒメハマキ模様が出ない。
  ③前翅後縁付近の中央でカギ状に白い紋がある。 

 コシロモンヒメハマキ
  ④白紋の始点は基部から近く、きれいな半円形ではない。
  ⑤白紋内の前縁でヒメハマキ模様が出る。
  ③前翅後縁付近の中央でカギ状に白い紋がない。

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シロモンヒメハマキ??? 白紋にヒメハマキ模様があるのに白紋が翅頂近くにあって矛盾している。 撮影日:2011/06/24 場所:勿来の関

2枚目の蛾は①②③が全て当てはまります。
 最初の写真の蛾は③で言っている中央にカギ状の白い紋は微かに白い線として認められる。全体の雰囲気が2枚目の蛾によく似ています。

問題となるのは,最後の写真の蛾です。それは,⑤のヒメハマキ模様(前縁に沿ってある黒い筋模様)があるのにも拘わらず,白紋の始点が基部から近くないのです。このような,どっちつかずの蛾がいるなんて信じられません。

 結論
 1枚目と2枚目の蛾はシロモンヒメハマキで,3枚目の蛾は分かりません。


五七五

素敵だな 青い地色が 目に留まる

どちらにも 当てはまるので お手上げだ


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ツマキナカジロナミシャク


ツマキナカジロナミシャク 写真をクリックすると大きくなります。
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ツマキナカジロナミシャク 白い X の紋様が目印です。 撮影日:2013/05/18場所:勿来の関

 1枚目の写真の蛾はツマキナカジロナミシャクといいます。
 2枚目の写真の蛾はシロシタトビイロナミシャクといいます。
 つい最近まで,この2種類の蛾が同じく見えてしまい区別ができないでいました。
紋様が似たような色なので混同していました。ツマキナカジロナミシャクの特徴を下に書きます。
①前翅前縁の翅頂付近に白い斜めの紋がある。
②内横線と中横線の間が狭く茶色の帯がある。
③前翅後縁の中央下寄りにX字模様の白い紋がある。
一方シロシタトビイロナミシャクには黒い筋がある。

 ①と②は個体差があり見比べないと違いが分からないので,③の点で区別する方が間違いがないと思います。
 勿来の関では,圧倒的にシロシタトビイロナミシャクが多く見られます。それは食餌植物に関係があります。マツの名所で有名な勿来の関にはシロシタトビイロナミシャクの食餌植物であるアカマツが無数に生育しています。ところが,ツマキナカジロナミシャクの食餌植物ホツツジはあまり見かけません。
 シロシタトビイロナミシャクのシロシタとは後翅が白いからで,トビイロとは茶色や焦茶色のことをいいます。2枚目の写真から後翅が白いことは分かると思います。
 それに対して,ツマキナカジロナミシャクの命名は,さっぱり分かりません。
 先ず第一に,ツマとはどの部分をさしているのか分かりません。唯一,黄色く見えるのは外縁の縁毛です。縁毛をさしてツマというのはあまり聞きません。
 第二に,中横線と外横線で囲まれた焦茶色の部分が白っぽくなるのでナカジロというのだそうですが,そのような個体に出会ったことがありません。

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シロシタトビイロナミシャク 後翅が白いのでシロシタです。 撮影日:2011/05/19場所:勿来の関

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どちらとも トビイロなので 間違えた

中央に 白い紋あり 区別でき

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シロオビクルマコヤガ


シロオビクルマコヤガ(ヤガ科ベニコヤガ亜科) 写真をクリックすると大きくなります。
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シロオビクルマコヤガ 建物から飛び出し道路に止まってくれました。 撮影日:2013/05/18 場所:勿来の関

 この日は,偶然上と下の建物で同種類の未見の蛾を1匹ずつ見つけることができた。フタスジオエダシャクを小さくしたような蛾ですが,外横線が前縁近くで急に曲がっている点が違います。
 このように,前翅も後翅も見えるように止まっていたら,シャクガ科を探せばよいのですが翅の紋様がどことなく違った感じを受けました。前翅長が15mm前後で小形から中形の蛾でしたのでヤガ科のコヤガ類を調べたていたらシロオビクルマコヤガであることが分かりました。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」では開張23-28mmとなっていますが,私の測定では前翅長が15mmでした。

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シロオビクルマコヤガ ヤガ科らしい下唇鬚です。 撮影日:2013/05/18 場所:勿来の関

 この蛾の食餌植物はカシワの枯葉のためか出現数が少ないのでしょうか。この蛾の資料は少ないです。

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シロオビクルマコヤガ 前翅中央の「への字」がはっきりしています。 撮影日:2013/05/18 場所:勿来の関

 最初の写真の方は前翅中央付近の紋様が,はっきりしませんが最後の写真の蛾は,はっきりと「へ」の字模様が現れています。白い線の部分を白帯に見立ててシロオビと呼んでいるのでしょう。大胆な模様が意匠を突いていて目を引きます。


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大胆な 模様の中に アクセント



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オオミズアオ


オオミズアオ 写真をクリックすると大きくなります。
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オオミズアオ 電話ボックスの中に入っていました。 撮影日:2013/05/19 場所:勿来の関

 2013年5月19日(日),電話ボックスを開けてびっくりしました。大きくて奇麗な蛾がいたからです。淡い青緑色が奇麗なオオミズアオです。しかも,無傷な個体です。後翅の腎状紋の形状がオナガミズアオとの大事な区別点になります。こんなときには,前翅をそっと持ち上げればいいのです。過去に何度も試しましたが,オオミズアオはこの程度の刺激にはびくともしません。
 さっそく試してみましたが,カメラを構える前にずれ落ちてしまい写せません。それに,少し高い所に止まっていて上手く写せません。そこで,3枚ほど写してから写しやすい降ろすことにしました。
 降ろすのにはマツの葉を使うと便利です。ここ勿来の関はアカマツの名所で道路の両脇にはマツの葉が沢山落ちています。その葉を足と足の間に差し込みそっと斜め上方に持ち上げればいいのです。
 移すまではよかったのですが,身の危険を感じてか,羽ばたきを始めてしまいました。さあ,大変です。素早く写し終えないと飛び去ってしまいます。辛うじて間に合いほっとしました。外に出ようとバタバタ音を立て始めましたので,戸を開けて逃がしてあげました。
 すると,近くのサクラの木の高い枝の葉の裏に止まったままで動かなくなりました。そのときの写真が3枚目の写真です。あそこでは,目立って鳥に食べられてしまいそうだと心配になりました。

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オオミズアオ 羽ばたくときは翅をずらしているのです。 撮影日:2013/05/19 場所:勿来の関

 移した後の写真を見ると後翅の腎状紋の様子がはっきり取れていて嬉しくなりました。


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オオミズアオ ドアから飛び出し近くのサクラの木の葉の裏に止まってしまいました。「そんな目立つ所で大丈夫かな。」 撮影日:2013/05/19 場所:勿来の関

 2日後の今日,電話ボックスの外側を見て,「えっ。」と声を出してしまいました。また,オオミズアオがいたからです。7箇所も傷ついていて痛痛しい限りです。「無事に戻ってきたんだね。良かったね。鳥は怖かったでしょう。」と声をかけました。今日は前翅を上げて写すのはよしました。

 ところで,前翅左右の傷跡の形状が違うことに気付かれたと思います。
 さて,鳥に食われたのは,どちら側でしょう。嘴は尖っていますので,食われた跡は二等辺三角形になりますから,向かって右の前翅が食われています。3つあるので3回食われています。左側は翅をばたつかせたとき枝にぶつかりちぎれた跡と思います。傷跡を詳しく見るとどんな目に遭ってきたか想像でき楽しくなってきます。


 オオミズアオとオナガミズアオは大変よく似ていて区別するのが容易ではありません。どちらの方の蛾なのか質問が多い蛾で有名です。私がオオミズアオと判断した理由を次に書きますので参考にして下さい。。

①後翅の腎状紋が小さい。
②触角が黄緑でなく茶色っぽい。
③幼虫の食草はバラ科、ブナ科、カバノキ科、ミズキ科で個体数が圧倒的 に多い。
 このように書きましたが,個体差があり判断に迷うことが多いようです。

 今,悔やんでいるのは,オオミズアオは前翅長が53~57mmとオナガミズアオより大きいのでそれを測れば正しく同定できたであろうということです。

 尚,この2種類の比較を詳しく説明しておられる方が「四国産蛾類図鑑」で有名なnabeさんです。そのサイトを紹介します。
http://outdoor.geocities.jp/nabenight/4oomizuao.htm

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オオミズアオ 傷跡から何があったか分かります。「生き長らえて良かったね。」 撮影日:2013/05/21 場所:勿来の関

 前翅長を測定すればオオミズアオかオナガミズアオか,はっきり同定できると思い今日(2013年5月22日)は,電話ボックスへ足早に向かいました。同じ所にいればいいなと期待しながら電話ボックスを見ると昨日と同じ格好で止まっていました。「待っててくれたんだね。有難う。」と嬉しくて思わず手をたたいてしまいました。巻き尺を取り出して測ると前翅長は54mmありました。
 予想通り圧倒的に数が多いオオミズアオでした。

五七五

翅の色が 何ともいえず 見とれたり

良かったな 命からがら 生き延びて

大半は オオミズアオが 占めている

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フタクロテンナミシャク


フタクロテンナミシャク 写真をクリックすると大きくなります。

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フタクロテンナミシャク 内横線・中横線を見落とすとヤガ科を探すようになります。 撮影日:2013/05/18 場所:勿来の関

 建物の中をよく探しましたら,何枚も綴じ込まれた紙の間に隠れていた蛾を見つけました。頭を突っ込んで身を潜めていました。「いろは歌留多」の言葉を引用すると,まさに「頭隠して尻隠さず」です。
 驚かないようにそっと紙をめくって写したものがこれらの写真です。私はこの蛾を見た途端,ヤガ科の蛾だと思ってしまいました。ヤマガタアツバ・ハングロアツバ・クロキシタアツバ等を同定するとき,さんざん苦労したので印象が強かったからです。
 確認のためにWeb図鑑のアツバ亜科で調べてみると同じ画像が見つかりません。波線模様の内横線・中横線が無かったり翅頂付近にある2つの黒い模様もないのです。
 調べるのは,これでお手上げになってしまいました。仕方なく今朝撮ってきた画像の整理をしていました。
 すると,何としたことでしょう。ナミシャク亜科にそっくりな画像を見つけることができました。命名者には翅頂付近の2つの黒い模様が印象的だったのでしょう。フタクロテンナミシャクと出ていました。
 私の「勿来の関の蛾リスト」を見ると2011/5/20に記録されています。そこで,私のHP「北茨城・勿来 周辺の博物誌」を探すと,その中の「蛾の図鑑:シャクガ科ナミシャク亜科2」URLは「http://itotonbosan.web.fc2.com/syakuganamisyaku2.html 」に出ていました。
 蛾の種類が900余りを越すと前に写した蛾を全て覚えているのは困難になってきました。

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フタクロテンナミシャク 腹端を上に上げています。。 撮影日:2013/05/18 場所:勿来の関


短歌と五七五

勘違い ヤガだとばかり 思ったら 見つけ驚く ナミシャク亜科に

ナミシャクの 印は横の 3つの線

見落とすな 内横線と 中横線

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スカシドクガ


スカシドクガ  写真をクリックすると大きくなります。 撮影日:全て2013/05/19
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スカシドクガ 翅の色はうっすらと青みがかっています。
 昨晩の月は上弦(月の入りのとき弦が上になるから)でした。上弦の月にもなると月の明かりで相当明るくなります。そんな晩はわざわざ灯火まで蛾は飛来しません。ところが,午後6時頃から雲がかかってきて暗い晩となりました。 しかも,蒸し暑い晩でしたので,蛾の出現が期待できます。そんな訳でいつもより早く寝ることにしました。
 早起きして出かけて行くと,多種類の蛾が壁・窓ガラス・外灯に止まっていました。その中にあまり見られない白い蛾がいました。写真を撮っているうちに黒点とうっすらと青みがかった翅の色からスカシドクガと分かりました。毒針毛があるモンシロドクガなら写すのは止めましたが,それが無い蛾なので安心して何枚か撮っていました。撮っているうちに何カ所にも薄黄色の小さな粒があることに気が付きました。スカシドクガの頭部を見ると,外灯との間にその小さな粒が見えました。スカシドクガの卵だと気付いたのはそのときです。
 何を間違えたのか,このスカシドクガの雌は鉄の外灯に卵を生んでしまったのです。食餌植物はアワブキなのに卵から孵った幼虫の運命はどうなるのでしょう。

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スカシドクガの卵が外灯と胸部の間に見えます。
 その卵を写したら,薄黄色で円盤のような可愛い形をしていました。昔,飲んだ肝油の薬を思い出します。2個ずつ重ねて生んだ所もあるし,6個も重ねた所もありました。そんなに重ねても落ちないのは,表面に強力な接着剤が付いているからでしょう。しかも,上下の面を平らにして,接触する面積を広くしています。このようにして接着を強くしているスカシドクガの知恵に感心します。

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スカシドクガの卵
 もっと写しやすいところに移そうとマツの葉を胸部に差し込んでいたら飛び立ってしまいました。近くのサクラに止まるのかと思って見ていました。何度か止まる素振りを見せましたが,下の林の方に飛んで行ってしまいました。
「アワブキの木を目指して飛んでいくんだよ。」と祈りながら見ていました。


短歌と五七五

重ねても 黄色の卵 落ちません 接する面を 広くしている

生んじゃった 鉄の柱に この後は 幼虫の運 どうなることか

すぐ飛べる 羽ばたきもせず この毒蛾

安心だ 毒蛾と呼ぶが 針持たず


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クサギ


クサギ 写真をクリックすると大きくなります。
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クサギ 花は葉と違って芳香を放つ。 撮影日:2000/08/09
 この植物の名前はクサギです。漢字で表すと臭木になります。文字通り好まれない臭いがするからです。葉を揉んで匂いを嗅ぐと分かります。
 クサギは上の写真のような白い花を咲かせますが,嫌な臭いどころか芳香を放ちます。私は葉を揉んで匂いを嗅いだ経験から,また,嫌な匂いを嗅ぐことになるだろうと思いながら鼻を近づけました。すると,どうでしょう。品のある香がするではありませんか。信じられないので再び,嗅ぎましたがいい香りがします。それ以来クサギの花が好きになりました。

 クサギの花を写していて,理解できなかったことがあります。それは,雄しべや雌しべが前方に伸びずに,後方に曲がっていることでした。右の花の雄しべはくるっと丸まった感じで曲がっています。一方,左の方の雄しべは前方に突き出ているのに雌しべは自家受粉を避けるように下方後方に曲がっています。
 そろそろ解答しなければなりません。その前にヒントのようなものを出しますから,ちょっと考えて下さい。クサギの花は雄性先熟で,雌しべは後で熟する花です。左の花は熟した雄しべが前方に突き出ています。右の花は雌しべが熟して突き出ています。

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クサギ 対照的な色合いの赤い萼と青い実。 撮影日:2000/10/14
昨日の解答です。 
 答えは前方に伸びていた雄しべを丸めている右の花が速く咲いた方です。
 このことについて詳しく記事にしているブログがあります。ブログ「そよ風のなかで」の中の「2007年8月18日(土) クサギの花」です。URLは下です。
http://soyokaze-jp.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_4fe8.html

 皆さんクサギの実をご存じですか。それはそれは,色鮮やかで奇麗な実を付けます。萼は更に赤味を増し,実は目立つように青くなります。

 クサギの特徴
①葉はいい匂いがしない。
②花は芳香を放つ。
③実は赤い萼とは対照的な鮮やかな青い色。

短歌と五七五

曲がってる 雄しべ雌しべが その訳は 自分の花粉 付けぬためなり

葉を揉むと 名前の通り クサギなり

花香る 葉と裏腹な クサギかな

目を見張る 鮮やか色の クサギの実



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テンヅマナミシャク


テンヅマナミシャク 写真をクリックすると大きくなります。
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テンヅマナミシャク 波模様の線が沢山あります。 撮影日:2013/05/13 場所:勿来の関
 建物の壁にこのような蛾が止まっていました。一見,黒くて地味な蛾なので写すのをためらいました。
 しかし,この勿来の関には何月頃,どんな蛾が見られるのか調べているので気は進みませんでしたが,写真を撮って名前を調べました。
 私はこの蛾はシャクガ科に属する蛾だと判断しました。前翅も後翅も見えるように大きく開いて止まっているからです。次に,エダシャク亜科かナミシャク亜科か迷いましたが,エダシャク亜科から調べるとにしました。私は「北茨城・勿来 周辺の博物誌」というHPを立ち上げているのでこれを利用することにしました。未だ,900種余りで少ないですが,少ないから速く見つけられるのです。前に写真を写していれば出ているし,出てなければ「四国産蛾類図鑑」で探せばよいからです。
 探した結果,エダシャク亜科ではありませんでしたが,ナミシャク亜科に出ていました。特に後翅に目立ちますが,細かい波模様の線が見えるのでナミシャク亜科の蛾なのでしょう。
 地味な蛾だったので去年写したかどうか思い出せませんでした。
 名前のいわれは,白い点が端(つま:はしの意味)にあるのでテンヅマナミシャクと呼ばれるのでしょう。
 この蛾の幼虫はクサギを食べます。そのクサギの写真が下にあります。

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クサギ 撮影日:2000/08/09
 ここで,クイズを出します。クサギの白い花が2つ咲いていますが,右と左の花で速く咲いたのはどちらでしょうか。解答は明日です。


五七五

 ナミシャクは 何本もある 波模様

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ヨコヅナサシガメ3


ヨコヅナサシガメ3 写真は全て2013/05/16に撮影したものです。 写真をクリックすると大きくなります。写真の上下の位置は変えていません。

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ヨコヅナサシガメ 今日の羽化の観察は頭を上にするかどうかであった。
 ヨコヅナサシガメ2の記事を書いていて,気になっていたことがありました。それは,羽化するときに頭を下にしたままでいたら,翅だけは皺が伸びないだろうと思ったことです。
 ですから,完全に羽化が終わった後は頭を上にするはずだと思ったのです。そうすれば翅の皺は重力のおかげで伸びることができるからです。
 今日(2013年5月16日)は,それを確かめるためにヨコヅナサシガメが集まっているサクラの木の所に行きました。

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ヨコヅナサシガメ 左側が速く羽化して回転し頭を上にした。予想的中。
幸運にも,昨晩から暖かく朝から晴れていたためか2匹が脱皮中でした。前回の記事では,下に落ちないようにどこの部分で支えているか分からぬままに書いていました。羽化したばかりの赤い足は自由に動いています。ですから,体を支えているのは腹端しかありません。
 羽化したばかりの柔らかい体がある程度固くなるまで,ぶら下がっています。その後,体を前屈みにして前足で体を引っ張りながら支えていた腹端部を脱皮させます。
 このとき,体の内部にあった気管も脱皮しますが,それが5枚目の写真にある白い糸のように見えるものです。

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ヨコヅナサシガメ 脱皮した黒い殻は触角の位置から頭が下になっていることが分かる。
 4枚目の写真でこの成虫はその白い糸のようなものがなかなか取れず少しもたもたしていました。
 この後,成虫の行動をじっと見ていると予想したとおり回転して頭を上にしたまま動かなくなりました。右脇にある黒い物は脱皮した後の殻です。極近い種であるセミとは頭の向きが正反対です。つまり,セミは頭を上にして羽化しますが,このヨコヅナサシガメは下にしたまま羽化します。

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ヨコヅナサシガメ 前屈みになって前足を幹にかけ体を引っ張り脱皮する。
 それで,翅の皺が伸びるように向きを変えるのです。予想が的中したので,私は今日一日,満足した気持ちで過ごせました。

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ヨコヅナサシガメ 遅れていた右側も羽化後,頭を上にした。黒い殻から白い糸のような物が出ているのは気管の殻です。

 白い糸のような物については,そよかぜさんのブログ「そよ風のなかで」に出ていますので紹介します。
http://soyokaze-jp.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_8c6b.html

五七五

 翅の皺を 伸ばすが為に 回転す

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オオギンスジハマキ


オオギンスジハマキ 撮影日:全て2013/05/11  場所:勿来の関 写真をクリックすると大きくなります。
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オオギンスジハマキ 黒く見えた蛾は奇麗な蛾でした。

 この日の朝は,蛾の出現に期待が持てました。
  ①暖かい晩だった。
  ②一晩中,風も吹かず雨も降らない晩だった。
  ③月齢0で暗い晩だった。
 この三拍子が揃っていたからです。

 予想通り,建物の壁を見ると黒いハマキガ科らしい蛾が止まっていました。黒いハマキガは未見の蛾でしたので,胸が高まりました。
 でも,残念ながら高い所に止まっていて写せません。それでも大丈夫です。こんなときのために大きいプラスチックの植木鉢を車に積んであるからです。早速,軽くて丈夫な植木鉢に載って蛾を写しました。

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オオギンスジハマキ 赤と黒と銀色の大胆な模様が素敵です。

 写真を見てびっくりしました。黒い蛾とばかり思っていましたら,赤茶色の奇麗な蛾が写っていたからです。フラッシュを焚いたからそう写ったのか心配になりました。そこで,インターネットで調べると,この写真のような画像ばかりでしたので安心しました。

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オオギンスジハマキ 黒い筋は光の反射で銀色に光る。

 黒く見える筋は,光の反射の具合で銀色に光って見えることからオオギンスジハマキと名付けられたと思っています。因みに,オオギンスジハマキはいますがギンスジハマキやコギンスジハマキはいないようです。


五七五

黒い蛾と 思うて見たら 赤茶色

黒い筋 光当たると 銀色に

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ヨコヅナサシガメ2


ヨコヅナサシガメ 撮影日:下の2枚を除き全て2013/05/14  写真をクリックすると大きくなります。
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ヨコヅナサシガメ ぶら下がりながら皺を伸ばしています。

 毎日通るたびに,ヨコヅナサシガメの様子を観察してきました。何と今日(2013年5月14日)は,脱皮中の赤いヨコヅナサシガメが2匹いました。去年より一日遅い脱皮です。脱皮したばかりのときは赤いのです。鮮やかな色に見とれて,しばらく眺めていました。翅は透明で脈が赤くなっているのに気付きました。

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ヨコヅナサシガメ 下のを大きく写したのが右の写真です。

 目と腹部が既に黒くなっています。まだしばらくこのようにぶら下がっていると思われます。これは,重力を利用して翅や体のしわを伸ばし体が固くなるのを待っているのです。脱皮するとき,周りが全て平だったら大変です。しわを伸ばそうとしてもぶら下がる所がありませんから翅などはしわだらけになってしまいます。このとき重力は大切な働きをしているのです。

 この2匹のヨコヅナサシガメの下にこれから脱皮し始める終齢幼虫がいました。胸部から先に脱皮するようです。まだ足や触角は殻から脱げていません。

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ヨコヅナサシガメ 横から写すとヘアピンのように曲がった口が見えます。。

 横から眺めると昆虫の体液を吸うときに使う口がヘアピンのように曲がっているのが見えます。うっかり掴んでいるとこの口に刺されて痛い目に遭います。

 この昆虫は中国から東南アジアにかけて分布していましたが,昭和初期に九州で発見され今では,勿来の関がある東北地方まで部分を広げています。

 勿来の関ではサクラの幹に,下の写真のように集団で生活しているのをよく見かけます。上から見て赤い斑点があるものは幼虫です。写真の幼虫は終齢幼虫であと1回脱皮すると腹部の縁が白黒のまだら模様をした成虫になります。写真では左側と中央下に見られます。

 この白黒のまだら模様を横綱が着ける化粧回しに見立ててヨコヅナサシガメと名付けられました。私は日本で一番大きいカメムシだからだと思っていました。

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ヨコヅナサシガメ このように集団で生活します。

 昨日観察した場所のヨコヅナサシガメはどうなっているか見ました。今日は脱皮している幼虫はありませんでした。昨日より成虫の数が増えているような気がしました。
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ヨコヅナサシガメ 大きいのが成虫で,赤い斑点が見えるのは終齢幼虫です。 撮影日:2013/05/15

 昨日は横になった幹の上の苔が生えている所にも集まっていましたが,今日は幹が曲がった所(写真右下)に移動していました。その日によって集まる場所を変えているのでしょうか。
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ヨコヅナサシガメが沢山集まるサクラの木です。  ↑ この間に見られます。 ↑  撮影日:2013/05/15

五七五

ぶら下がり 体の皺を 伸ばしてる

黒い虫 赤く変身 脱皮中

赤い点 まだ幼虫の 印なり

白黒の まだら模様で 横綱に


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タコノアシ


タコノアシ 写真をクリックすると大きくなります。
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タコノアシ 撮影日:2010/08/17  

 この花,タコノアシとの最初の出会いは,いわき市の河川敷を歩いているときでした。その後,周辺の田や湿地に生育しているのを確認しています。でも,湿地の運命として近いうちに埋め立てられてしまうだろうと思っています。ある沼の周辺を散策しているときにも見つけました。こちらは,周辺の田に水を送るための灌漑用なので当分大丈夫だと思っています。
 雨が降ると20cmくらい水が溜まるこの場所には赤紫色のミソハギも群生して咲いていました。その群落の端の方に白っぽい花を咲かせている植物を見つけました。図鑑で名前を調べると,タコノアシと分かりました。でも,何故そのような奇妙な名前が付いたのか疑問を持ちましたので,幾つかの図鑑を読みました。
 「花茎の先が外側に反っていて,しかも,白っぽい小さな花がタコの吸盤のようなので名付けられた。」と図鑑には書いてあります。
 私は,それよりも次のように考えを深めています。このタコノアシは実が熟する頃,赤くなります。その様子が茹でられた蛸の足にそっくりだからタコノアシと名付けられたと思っております。形だけでなく色彩豊かに表現したところが,まことに言い得て妙です。この命名者に脱帽です。
 というわけで,実が熟する頃,また,行って写したものが,赤く色づいたタコノアシの写真です。

 このタコノアシはベンケイソウ科から,今はユキノシタ科とする考えが主流になっていますが,そこから独立させて新たにタコノアシ科とする説が出てきました。因みに,ベンケイソウ科の植物とタコノアシは接木が可能であり,類縁は強いと考えられています。

 図鑑には「花弁は無く,萼片は5個で雄しべは10個,雌しべ5個は下半部が合着している。」とタコノアシの花の説明が書いてあります。話を進める前に,ここで簡単に花の説明をします。花の外側にあって緑色をした三角形のものが萼です。黄色く見えるものが雄しべの葯です。一番内側にあって白く見えるものが雌しべです。雄しべは10個と書いてありますが,数があっているのは一番下にある花だけです。外の花はそれより数が多くなっています。雌しべの数も数えましたが,きちんと5個あるのは一番下の花だけです。
 若い頃は教科書に書いてあることは正しいと信じてきました。ところが,このように事実と合わないことに何度か出会うと一般的なことを書いただけで特殊なことには触れていないのだと気付きました。
 ですから,図鑑や本に書いてあることを鵜呑みにせず,自分の目で確かめた事実を基に考えを深めていかないと発見もないし新しい道も開かれません。

 このことからタコノアシは完全に進化した植物ではなく進化途中にある植物であるといえます。それで,ベンケイソウ科にも似ていてユキノシタ科にも似ているところがあるのでしょう。

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タコノアシ 花には花弁無く雄しべ雌しべの数がまちまち。やがて赤くなり蛸の足に。 撮影日:左2000/07/28 右2000/09/23


五七五

色形 言い得て妙な タコノアシ

花毎に 数がそろわぬ タコノアシ

タコノアシ 工事埋め立て 減るばかり

違っても 見た事実から 深めよう

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タチガシワ


タチガシワ(ガガイモ科) 写真をクリックすると大きくなります。
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タチガシワ 花は焦げ茶色で茎頂部に集まって咲く。 撮影日:左右とも2000/05/02

 この花との最初の出会いは夏井川渓谷でした。遊歩道を歩いていると見たことがない花が咲いていました。派手な花ではありませんが,茎頂に焦げ茶色の5弁の花が集まって咲いています。しかも,忘れられないのは,対になった葉が二組,茎の上部に着いていたことです。この花と葉の様子を目に焼き付けておいて家に帰りました。
 さっそく図鑑で調べましたが,探すことはできませんでした。結局,10年以上もこの花の名前は分かりませんでした。途中,何回か思い出しては図鑑を開きましたが探し出すことはできませんでした。あるとき,ガガイモ科の植物を調べていたら昔,焼き付けていた画像をみつけやっとタチガシワと分かりました。
 つる性の植物が多いガガイモ科にあって,タチガシワは茎が直立します。ガガイモ科の実は先がとがった緑色の細長い袋果です。更に大事な特徴として,茎や葉を切ると白い乳液が出ます。名のいわれは葉がカシワのように大きく茎が立つことによるようです。
 キキョウ科の植物もガガイモ科の植物と同じく茎や葉を切ると白い乳液を出します。キク科のタンポポ亜科の植物とトウダイグサ科の植物も同様な液が出ます。

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タチガシワ 葉は対生。 撮影日:2000/05/02


五七五

 会ってから 十余年たち 名前知る

 つるでなく 茎が立つので タチガシワ

 茎や葉を 切ると中から 白い液


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ミヤマツチトリモチ


ミヤマツチトリモチ(キノコではなく花です。)  (写真をクリックすると大きくなります。)
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ミヤマツチトリモチ 茎の基部から鱗片葉が出ています。 撮影日: 左右とも2000/08/23

 この植物はキノコではありません。なぜならキノコには鱗のような鱗片葉が見られないからです。3枚の写真とも茎の基部から出ている鱗片葉が見られます。ミヤマツチトリモチという植物です。これがその花です。
 植物に明るい方からミヤマツチトリモチのある場所と写真の写し方を教えて頂いて探しに行きました。あれは8月下旬の頃でした。生育場所を教えて頂いても両者の考えのすれ違いから見つかる可能性は低くなりがちですが,そのときは運良く見つけることができました。
 キノコに間違われないように,周りの土を掘って鱗片葉もしっかり写しました。写し終えた後でもっと格好の良い株の写真を撮りたくなりました。このミヤマツチトリモチはカエデ科やイヌシデの樹木の根に寄生するので,それらの根元を中心に探しました。この日は運も勘も良かったのか別の場所で3株ほどミヤマツチトリモチを見つけました。
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ミヤマツチトリモチ 周りは薄暗くなりシャッターを切るのに苦労しました。 撮影日:2000/08/23

 図鑑によると,ミヤマツチトリモチは雌雄異株で雄株は未発見だそうです。雌株だけで種子を作る単為生殖をするそうです。一週間してからまた,見に行くと黒ずんでいました。
 根茎をすりつぶして鳥もちを作ったことからツチトリモチと呼ばれます。
 奥深い山で見られるツチトリモチという意味でミヤマツチトリモチ(深山土鳥黐)と呼ばれます。


五七五


 これが花 雄株無しでも 種子作る

 寄生する 樹木の根元 雌株だけ

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ミクリ


ミクリ 写真をクリックすると大きくなります。
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ミクリ 上部の黄色は開きかけの雄頭花。その下のものは雄頭花。下部の白い糸が生えたようなものは雌頭花。 撮影日:2000/06/23

 この植物はミクリといいます。名のいわれは実がクリのような形をしているからでしょう。湿地や沼などのいつもじめじめした所に見られます。
 私はミクリが生育する2つの場所を知っていました。ところが,今ではもう見ることができなくなりました。
 1つは人の命を守るために柵をミクリが育っている沼の周りに巡らせて立ち入り禁止にしました。柵をしっかり固定するためにコンクリートで固めてしまったので,ここのミクリは全滅してしまいました。工事をするなら採集しておけば良かったと悔やんでいます。
 もう一つはじめじめした休耕田だったので,埋め立てて,建物を建ててしまいました。そんな訳でミクリを見られなくなりました。人の命もミクリの命も大切です。だから,ミクリを別の場所に植えかえて守ってあげる方法を取れば良かったのに残念です。いつも人間の都合で勝手に自然を破壊しています。特に,水辺を巡る環境は悪化の一途をたどっています。
 3枚の写真でミクリの花の説明をします。一番上に黄色く見えるのは,開きかけの雄頭花,その下に見えるのは雄頭花,一番下で大きく白い糸のような物が生えたものは,雌頭花です。二枚並んだ写真の方の左側は上部に緑色の雄頭花,下部には白い糸のような物が見える雌頭花が見られます。そのすぐ右側には,実が3つできています。

 2つ並んだ右の写真は,すべて雌頭花が実になっています。
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ミクリ 右側はもう既に実ができています。 撮影日: 左 2000/06/23  右 2000/10/06


五七五

今水辺 近い将来 埋められる

上に雄 下には雌の 花が咲く

栗のいが そっくりなので 実栗なり


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ヒゲマダラエダシャク


ヒゲマダラエダシャク
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ヒゲマダラエダシャク シャクガ科として珍しく触角を前翅に乗せて止まる。 撮影日:2013/03/19 場所:勿来の関

このヒゲマダラエダシャクはシャクガ科に属する蛾です。シャクガ科に属する蛾は前翅も後翅も見えるようにして止まることがほとんどです。そして更に,触角を翅の下にして止まるのが普通です。ところが,このヒゲマダラエダシャクは触角を翅の上に乗せて止まっています。大変珍しい習性です。
 念のために私が写した蛾だけがこうなのかインターネットで調べました。その結果,触角は乗せているか,左右に伸ばしているかでした。左右に伸ばしているときは,これから飛び立とうとしているか止まって間もないときです。
 という訳で,ヒゲマダラエダシャクは触角を前翅に乗せて止まる習性があるといえます。このような例外を見つけたのはヤガ科のモンムラサキクチバに続いて2例目です。

 ところで,何故この蛾をヒゲマダラエダシャクというのでしょうか。
 二,三日前まで私は,こげ茶色の紋を男性の鬚に見立てて名付けたものと思っておりました。でも,これに似たようなまだら模様の蛾は外にもいるので納得できないでいました。
 しかし,この記事を書くために調べていたところ,触角(しょっかくと言わず,しばしば鬚と言うときがあります。)にある黒い紋様が規則正しく並んでいないことに気付いている方がおりました。つまり,触角の黒い紋に太い部分があったり,細い部分が続いたり,左右対称でなかったりといった具合に並んでいるのでヒゲマダラエダシャクと呼ばれているのだと気が付きました。

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ヒゲマダラエダシャク 触角の紋様が不規則に並んでいる。 撮影日:2013/03/29 場所:勿来の関


五七五

シャクガにも 例外あるぞ 見つけたり

触角の 紋がまだらで 鬚まだら

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モンムラサキクチバ(ヤガ科らしからぬ蛾)


モンムラサキクチバ(ヤガ科らしからぬ蛾)
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モンムラサキクチバ 触角を前翅の上に乗せて止まっています。 撮影日:2013/05/06場所:勿来の関

 ヤガ科らしからぬ例外的な止まり方をする蛾の紹介です。
 この蛾の写真を見て,ヤガ科の蛾だと思いました。つい最近,セダカモクメを観察したばかりで,木目の筋が目立ちましたのでモクメキリガ亜科(キリガ類1)を調べました。でも,出ていないのでキリガ類を全て探しました。けれども見つかりません。
 そこで,画像を拡大してみたところ,触角が前翅の上に乗っていました。
「えっ。まさかツトガ科かメイガ科の蛾だなんてありえない。」
と私は驚いてしまいました。ツトガ科とメイガ科の蛾はほとんど触角を前翅の上に乗せて止まる癖があることを発見していたからです。
 でも,こんな茶褐色で二等辺三角形をした蛾はヤガ科の蛾で間違いないと思いましたが,念のためにツトガ科とメイガ科を調べました。予想したとおり見当たりません。もう,こんなときには行き当たりばったりですが,ヤガ科かシャクガ科を調べるのが一番よいと経験上分かっていますのでヤガ科から調べ始めることにしました。ヤガ科とシャクガ科が一番種類が多くて大変なのですが命中する確率が高いと思ったからです。前翅も後翅も開いて止まるシャクガ科に属する蛾とは思えなかったのでヤガ科から探すことにしたのです。
 「四国産蛾類図鑑」のシタバガ亜科2Catocalinae(クチバ類1)から見つけ出しました。名前はモンムラサキクチバだと分かりました。
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モンムラサキクチバ いつでも飛び立てるように触角を左右に伸ばしています。 撮影日:2013/05/07場所:勿来の関

 名前が分かりほっとしたら,最初の疑問が頭の中に浮かんできました。それは,止まっているときの触角の位置です。私が写真を撮った蛾は偶々触角を上にして止まったのか「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に出ているモンムラサキクチバの写真を再び見てみました。すると同じように触角を前翅に乗せて止まっているものもいるし左右に伸ばしているものもいました。同じような写真があり安心しましたが,外のWeb図鑑も調べました。やはり,2つの型がありました。
 念には念を押して,透明のビニル袋に採集してきたモンムラサキクチバの触角の位置を朝も昼も夕も観察しました。観察する前には必ず,袋を動かしてモンムラサキクチバを羽ばたかせてしばらくしてから触角の位置を見ました。
 すると,いつ見ても触角の位置は前翅の上にありました。
 更に,袋から出したら触角の位置はどうなるか,17時30分頃実験をしました。
 窓のカーテンを八分目まで閉めカーテンの開いている明るい方に向かってビニル袋を開けました。蛾は明るい方に向かって飛んでいきレールを乗せる木の枠の上に止まりました。そのときの触角は2枚目の写真から分かるように左右に伸ばしていました。その後,夕御飯のため2時間ほどその場を離れていました。戻ってみると元いた場所から少し移動してガラス窓のアルミサッシ枠に止まっていました。そのときの触角の位置は3枚目の写真のように体の上に乗っていました。
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モンムラサキクチバ 落ち着いたのか触角は体の上に乗っています。 撮影日:2013/05/07場所:勿来の関

 このことから触角の位置がそうなるのは,偶然ではなく,この蛾の習性なのだと分かりました。
 このとき,もしかしてシタバ類の蛾はこのモンムラサキクチバのように触角を乗せる習性があるのかも知れないと思いました。すかさず調べましたが,モンムラサキクチバ・モンシロムラサキクチバ・シラホシモクメクチバの3種類にしかこのような習性は無いことが分かりました。
 今までヤガ科の蛾は必ず止まるときには触角を前翅の上には乗せないと思っていましたが,例外もあることを知りました。
 どんな世界でも必ず例外が見られるのが,自然界の姿なのでしょう。

 実は,これと同じことをシャクガ科の蛾でも観察していますので,近いうちに紹介します。


五七五

 例外は 必ずあると 思い知る

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スジモンオオヒロズコガ


スジモンオオヒロズコガ
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スジモンオオヒロズコガ 撮影日:2013/05/06 場所:勿来の関

 現在,スジモンオオヒロズコガ(ヒロズコガ科)の画像は3枚しか無いので資料提供としてブログに掲載します。
 撮影日:2013/05/06 場所:勿来の関
 前翅長 11mm前後

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スジモンオオヒロズコガ 撮影日:2013/05/06 場所:勿来の関

 写真を提供されている方は次の2名です。
 ①「私の蛾日記」http://www.geocities.jp/otatsugio/ga/1101-2-sujimonnoo.html
 ②「四国産蛾類図鑑」http://homepage2.nifty.com/shikokuga/z42sonota.html

 上の2枚の写真は同じ蛾です。5月6日にこれらの写真を撮ったときに今度こそスジモンオオヒロズコガだと直感で思いました。どことなく下の写真の蛾とは違うように思えるのですが・・・。

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ヒロズコガ科 和名未定 よく似ていて私には区別困難です。 撮影日:2012/05/18 場所:勿来の関

 困ったことに,この蛾に大変よく似た蛾が「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に掲載されていて外見だけでは区別できないでいます。私もそれ(和名未定 Amorophaga japonica Robinson, 1986 )と思っている蛾を写しているので紹介します。


五七五

 必ずや 似てる蛾がいる 苦労する

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タカムクマルハキバガ


タカムクマルハキバガ(ヒラタマルハキバガ科)
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タカムクマルハキバガ 前翅中央付近に白点があります。 撮影日:2013/05/06 場所:北茨城

 タカムクマルハキバガはマルハキバガ科やヒラタマルハキバガ類ではなく,ヒラタマルハキバガ科に属する蛾だと思います。正しくは「日本産蛾類標準図鑑1巻, 2巻」を御覧下さい。
 現在,4名の方の画像しか無いので資料として提供しようと思います。
 撮影日:2013/05/06 場所:勿来の関・北茨城
 前翅長 9mm前後
 出 現 4B-6M,6E-7M,8E-10E 「みんなで作る日本産蛾類図鑑」から

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タカムクマルハキバガ 黒い三角形の紋の頭部よりに黒い点が弧状に並ぶ。 撮影日:2013/05/06 場所:北茨城

 タカムクマルハキバガの特徴は3つあります。
 ①前翅中央に白点があります。
 ②その外側に黒い三角形の紋があります。
 ③その三角形の紋より頭部側に弧を描くように黒点が並んでいる。

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タカムクマルハキバガ 前翅が重なって右の方の白点が見えない。 撮影日:2013/05/03 場所:勿来の関

 この画像の蛾は皆同じ蛾です。片方の白点しか見えなかったので,勿来の関にいた蛾を採集してきて写したのが最初の2枚の写真です。


五七五

 白点と 上の黒点 弧を描く 

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キンイロキリガ


キンイロキリガ
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キンイロキリガ 脈が金色に見えるからキンイロなのでしょう。 撮影日:2013/05/5 場所:勿来の関

 今日(2013年5月5日)は収穫無しかと思いながら,ふと床の上を見ましたら一見スギタニキリガかと思われる蛾がいました。大きさはスギタニキリガより小形の感じです。様子が妙な感じだったので写真を撮った後で息を吹き当てるとすっとずれたので息が絶えていることが分かりました。
 念のために前翅長を測ると20mmありました。Web図鑑でスギタニキリガの前翅長を調べると25mm以上で紋様もはっきり違いました。私にはどうも紋様の形も並び方も似ていて混同してしまうキンイロキリガだと分かりました。
 キンイロキリガと名付けられたのは,金色に見える脈の色が目立って見えるからでしょう。
 勿来の関では,スギタニキリガは極普通に見られる蛾ですがキンイロキリガは今年初めて見られた蛾です。この違いは何が原因か「みんなで作る日本産蛾類図鑑」で調べてみました。次のように出ていました。

スギタニキリガ:出現月3- 食餌植物クヌギ、コナラ、サクラ

キンイロキリガ:出現月4 食餌植物クヌギ、コナラ、サクラ、カシワ

 カシワは勿来の関周辺にはあまり分布していません。これを見てキンイロキリガは出現月が4月と短期間だから出会う確率が少ないのだと思っています。


五七五

 キンイロは 混同しがち スギタニと

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ドクウツギ 日本三大有毒植物


ドクウツギ 日本三大有毒植物
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ドクウツギ 左・中の赤い花柱が見える2つが雌花序。右は雄花序。 撮影日:2000/04/29
 これは,職場の仲間といっしょに安達太良山ハイキングの途中で起きたお話しです。その頃は,植物の名前を覚えるのに夢中になっていました。途中,紅色で奇麗な実が幾つも付いている木を見つけたので,家に帰って調べようと一枝折ってロープウェー乗り場に向かって歩いていました。何人もの人とすれ違いましたが,その中の一人の人が私に言ってくれました。
「その赤い実は毒ですよ。気を付けて下さい。」
「えっ。毒なんですか。」
と私は驚いて持っていた枝を放り投げてしまいました。
 その赤い実を付けていた植物名は,ドクウツギと分かりました。

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ドクウツギ 紅色の美味しそうに見える猛毒の実 撮影日:2000/06/10

 「毒の強さから日本三大有毒植物の一つ。近畿地方以北に分布。雌花序と雄花序を葉腋からだす。別名イチロベゴロシ。」と図鑑には書いてありました。
 それから30年くらい経って,北茨城でこの花の開花時期に出会うことがありました。実には前に出会って覚えていますが花は未だ見たことがありませんでした。花が雌花と雄花に別れていて花柱が赤いのを手がかりに調べやっとのことでドクウツギだと分かりました。
 高山植物とばかり思っていましたら,こんな身近に日本三大毒草があったなんて驚いてしまいました。
 多くの毒物植物が不味いのに,このドクウツギの実は汁があって甘いために子どもが食べて死亡するので,農村ではドクウツギ刈りをしたそうです。
 花を見つけた年,国営ひたち海浜公園に遊びに行ったところ偶然にドクウツギの実を見つけたました。そのとき写したのが2枚目の写真です。


五七五

 奇麗でも 食べたら危険 ドクウツギ

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バイケイソウ むせるが美しい花


バイケイソウ むせるが美しい花
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バイケイソウ 絶えずむせびながら撮影しました。 撮影日:2007/07/16

 バイケイソウの大きな葉を見たときに,私は思わず興奮してしまいました。エビネやサイハイランのような平行な葉脈だったので,きっとラン科の植物だと思ったからです。数え切れないほど生育していて株が大きいので開花したらさぞ見事だろうと思いました。でも,それが事実なら人目につき取られてなくなっている筈だと思いました。変だと思いながら花の咲くのを待っていました。 なかなか花の咲いているときに合えませんでしたが,やっと花を見ることができました。しかし,大変がっかりしました。ランの花ではなく白い花が多数茎に付いていたからです。
 ランの花ではなかったので生き残れたことをこのとき知ることができました。

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バイケイソウ 花弁の緑の筋と縁にある毛がこの花を美しく見せている。 撮影日:2007/07/16

 盛りが過ぎた花は所々黒くなっていて汚く見えました。バイケイソウの花を見ているうちに細工が細かいことに気がつきました。花弁の縁に突起毛が付いて形に変化を持たせています。更に,花弁の中央が緑色で葯の黄色が色彩を豊かにしています。放射状に伸びる緑の線がこの花を美しくさせています。
 近くに寄ってじっくり見ると奇麗な花であることに気付きましたが,撮影中むせる感じで小さな咳が出たり,目がちかちかしたり異様な感じを持ちました。早く写真撮りを終わりにして退散したくなるほどでした。花が咲いている時期は特別そのように感じました。
 図鑑を読んでいるうちにその訳が分かりました。このバイケイソウは毒草だったからです。ヤマトリカブトを写しているときは側に寄ってもむせるようなことはありませんでしたから,バイケイソウの花からは揮発性の成分が出ているのでしょう。


五七五

引き立てる 緑の筋と 葯の色

側に寄り むせりながらも 写真撮り

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ニリンソウとヤマトリカブト 中毒事故


ニリンソウヤマトリカブト(写真をクリックすると大きくなります。)
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撮影日:どちらも2006/04/29
ニリンソウ 横から見ると萼に紅がさしていることに気付きました。左の株のように白っぽいものもあります。
 山菜採りの季節になってきました。山菜採りが始まると決まって中毒事故が起きます。その一つとしてニリンソウヤマトリカブトがあります。私も実際にこの二つを見比べてみました。色といい葉の裂け方といいよく似ています。花が咲いていれば間違えることは無いでしょうが,咲いてなければ区別することは難しいでしょう。
 どちらもキンポウゲ科で似たような場所に生育しています。時には混生している場所があり間違えて摘み取ることは確かにあります。多量に食べなければ中毒死することは無いと思いますが,味噌汁にするのに沢山取ってくるので中毒事故が起きてしまいます。

 最初と2枚目の写真は,ニリンソウです。一株から普通,二輪の花が咲くので,ニリンソウと言われます。このニリンソウの葉と,ヤマトリカブトの葉がよく似ているために中毒事故が起きます。ニリンソウの花びらのように見えるのは萼(がく)だそうです。私はニリンソウの花が好きではありませんでした。歩きながら上からしか見たことがなく,真っ白い花にしか見えなかったからです。ところがあるとき,「花は横から写すととても良い作品ができる。」といわれたことを思い出し,横からニリンソウを眺めました。するとどうでしょう。全て白っぽい色をしているとばかり思っていた萼が,実はそうではなかったのです。萼の外側が桃色をしていて暖かみのある可愛い花のニリンソウが結構咲いているのです。それ以後ニリンソウは私にとって冷たい花から愛らしい花にすっかり変わってしまいました。地下茎でふえるので群生しています。

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ヤマトリカブト 全草毒です。特に根は猛毒です。
 撮影日:2000/09/12




 3枚目の写真はヤマトリカブトです。じっと見ていると引き込まれそうな青い花です。薄い色のものから濃い色のものまでいろいろあります。「花・葉・根すべてに毒があります。特に根は猛毒です。」こんなふうに図鑑には書いてあって,いかにも触れたりしたら倒れてしまうかのように感じてしまいますが,それを触れた手で食べ物を食べたり,口にしたりしなければ大丈夫です。触れた後はもちろん手を洗いましたが,まだ,ぴんぴんしているからです。
 ヤマトリカブトに出会った最初の頃は,近付いて写真を撮るのにも恐る恐る側によったり,呼吸するのにもこわごわしていました。でも,今では平気で触って写しやすいように向きを変えています。触っただけで死んでしまう毒を持っている植物は無いと思っているからです。

 余談になりますがトリカブトに纏わるお話です。ある薬局屋の方が講演会で,
「ヤマトリカブトの根をかじっても不味いので吐き出し体に支障はありません。マムシに噛まれて放っておけば死にますが,マムシを食べても死なないと同じです。」
とお話しされましました。
「だが待てよ。フグは食べると死亡するのに・・・変だな。」と思っていましたら,その方が,こうお話しされました。
「トリカブト殺人事件がありましたが,使った毒は恐らくフグの毒でしょう。」 私はアイヌの人達は昔,獣を弓矢で殺すときには矢尻にトリカブトの毒を塗ったという話を聞いたので,矢が刺さるとトリカブトの毒が血管の中にすぐ入ってしまうからたちまち死んでしまうのだとそれ以後はずっと思っていました。
 ところが,インターネットで調べたところ,次のようなことが分かりました。
 ①トリカブトの毒は,経口から摂取後数十秒で死亡する即効性がある。
 ②トリカブトによる死因は、心室細動ないし心停止である。
 ③トリカブトの毒性は根の方に多く含まれている。かじるとビリッとした痺れが舌の上に走り、その感覚が何時間も残り続ける。
 ④フグの毒は効き目が遅い。

 結論は命を奪うほどの毒があるので,口にはしないのが一番よいということです。


五七五

 紅色で 可愛さが増す ニリンソウ

 ニリンソウ 横の眺めで 変身す 

 全草が 毒だと知って 尻ごもる

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ウスベニヒゲナガ とてつもなく長い触角


ウスベニヒゲナガ とてつもなく長い触角
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ウスベニヒゲナガ 撮影日:2013/05/01 場所:勿来の関
 今日(2013年5月1日)も蛾を求めて朝早く家を出ました。昨日と同じく曇で暖かい夜だったからです。外が建物の中より明るくなってくると元居た所に蛾は戻ってしまうからです。残念ながら建物の中には,今までに見たことがある蛾しかいませんでした。健康のためにも歩きながら蛾を探していますが,昨日と比べて足取りが重く感じられます。昨日は,未見の蛾を見つけたので名前を調べようと気力に満ちていました。
 ところが,クリの木の所まで来たときです。ギシギシの葉の上に黄色く光っている奇麗な蛾が止まっているではありませんか。小さい蛾でしたが,触角がとてつもなく長い蛾でした。逃げられないようにそっと近づき写真を1枚撮りました。もっと近付いて大きく撮ろうとカメラを構えた瞬間,風船がゆっくり上がっていくように逃げられてしまいました。そのため,たった1枚しか撮れませんでした。
 「ウスベニヒゲナガ,ヤマキヒゲナガ,ツマモンヒゲナガ」の3種類は似ていて同定が難しい仲間です。外縁近くの黄色い紋様に紫色で濃く縁取りされているように見えるのでウスベニヒゲナガと決めました。触角の長さは前翅長の約三倍あるそうです。

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ウスキヒゲナガ 後角のみが白い。 撮影日:2013/04/19 場所:勿来の関

 上の写真の蛾はウスキヒゲナガです。前翅後縁の中央に白紋があるアトボシウスキヒゲナガに似ていますが後角部の縁毛だけが白いのでウスキヒゲナガと分かります。こちらの触角は前翅長の約2倍ほどだそうです。
 これらの長い触角は,おそらく雌を探すときにどちらの方向にいるのか教えてくれる高性能のレーダーなのでしょう。

五七五

 長い鬚 雌の居場所を 探り当て 

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