白色ツバメエダシャクの比較 ウスキ シロ コガタ
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ウスキツバメエダシャク 後翅後縁が薄黄色になっている。目と目の間(顔)が茶色。
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触角が櫛歯状なのでシロツバメエダシャクの♂。目と目の間に太い黄線があり顔が白い。
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コガタツバメエダシャク 尾状突起が短い。 目と目の間に細い黄線があり顔が白い。
北茨城周辺には上の写真のように,3つのよく似た種類の蛾が生息しています。
コガタツバメエダシャクだけは,尾状突起が短いので見ただけで区別ができます。
ところが,ウスキツバメエダシャクとシロツバメエダシャクは,翅を見ただけでは見分けがつきません。ただ,後者の雄(♂)は,触角が櫛歯状になっているので区別ができます。私は偶然にも触角を開いているときに写真を撮ったので見分けられました。
要するに,これらの仲間は翅全体と顔の写真を撮らないと正しく区別がつきません。
《名のいわれ》
ウスキとは後翅の後縁が薄く黄色になっている蛾が多いからです。
ツバメエダシャクとは尾状突起がツバメの尾に似ているエダシャクだから。
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アシブトチズモンアオシャク と チズモンアオシャク
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アシブトチズモンアオシャクとチズモンアオシャク

撮影日:2011/5/6 場所:福島県いわき市勿来の関
中横線が後縁(内縁)と直角に交わる①典型的なアシブトチズモンアオシャク

撮影日:2011/5/13 場所:福島県いわき市勿来の関
後縁近くで急に曲がり斜めに交わる③アシブトチズモンアオシャク

撮影日:2011/5/26 場所:福島県いわき市勿来の関
ゆるやかに曲がり斜めに交わる⑤チズモンアオシャク
よく似た種は植物だけでなく蛾にも存在します。
アシブトチズモンアオシャクとチズモンアオシャクは大変よく似ています。初めて,アシブトチズモンアオシャクに出会ったときは,両者の違いが分からず困り果てました。
Web図鑑の中には,アシブトチズモンアオシャクは,①のように中横線が後縁と直角で交わると説明している図鑑があります。
しかし,③のように直角に交わらず斜めになっている個体でもアシブトチズモンアオシャクと思われる個体も見られます。
ではどこに目を付けたら,はっきり分けられるのでしょうか。
私は外横線の出っ張り(②・④・⑥)に目を付けました。
②・④のように富士山のような形で膨らんでいるのは,アシブトチズモンアオシャクです。
⑥のようにあまり膨らまず,あるいは刺のように出ているのは,チズモンアオシャクです。
勿来の関では,アシブトチズモンアオシャクの方が多く見られます。それは幼虫の餌になる植物に原因があると考えられます。アシブトチズモンアオシャクはテイカカズラをチズモンアオシャクはコイケマ・ガガイモを食草としていますがテイカカズラの方が多く見られるからです。
アシブトチズモンアオシャクとチズモンアオシャク

撮影日:2011/5/6 場所:福島県いわき市勿来の関
中横線が後縁(内縁)と直角に交わる①典型的なアシブトチズモンアオシャク

撮影日:2011/5/13 場所:福島県いわき市勿来の関
後縁近くで急に曲がり斜めに交わる③アシブトチズモンアオシャク

撮影日:2011/5/26 場所:福島県いわき市勿来の関
ゆるやかに曲がり斜めに交わる⑤チズモンアオシャク
よく似た種は植物だけでなく蛾にも存在します。
アシブトチズモンアオシャクとチズモンアオシャクは大変よく似ています。初めて,アシブトチズモンアオシャクに出会ったときは,両者の違いが分からず困り果てました。
Web図鑑の中には,アシブトチズモンアオシャクは,①のように中横線が後縁と直角で交わると説明している図鑑があります。
しかし,③のように直角に交わらず斜めになっている個体でもアシブトチズモンアオシャクと思われる個体も見られます。
ではどこに目を付けたら,はっきり分けられるのでしょうか。
私は外横線の出っ張り(②・④・⑥)に目を付けました。
②・④のように富士山のような形で膨らんでいるのは,アシブトチズモンアオシャクです。
⑥のようにあまり膨らまず,あるいは刺のように出ているのは,チズモンアオシャクです。
勿来の関では,アシブトチズモンアオシャクの方が多く見られます。それは幼虫の餌になる植物に原因があると考えられます。アシブトチズモンアオシャクはテイカカズラをチズモンアオシャクはコイケマ・ガガイモを食草としていますがテイカカズラの方が多く見られるからです。
tag : アシブトチズモンアオシャクチズモンアオシャク
・マエキトビエダシャク と オオマエキトビエダシャク

撮影日2011/7/10 福島県いわき市勿来の関にて
マエキトビエダシャク 鮮やかな黄色で目につく

撮影日2012/5/20 前翅長18mm 福島県いわき市勿来の関にて
オオマエキトビエダシャク
去年の夏,茶色と明るい黄色の二色からなる蛾を見つけましたが,これとよく似た蛾がもう1種いて断定するのに困ったことがありました。マエキトビエダシャクとオオマエキトビエダシャクです。後者の方が大きいのでオオがつきます。でも,大きいからといって一概にオオマエキトビエダシャクとは決められません。個体差があるからです。
Web図鑑の説明では,よく読んでも分かりませんでした。見比べているうちに違いに気付きましたので,具体的にご説明します。
マエキトビエダシャク
①の矢印の場所が,ハトの姿か乳首に見えます。
②の矢印の場所に円い黄の斑紋が大小2つあります。(はっきりしないのもいます。)
オオマエキトビエダシャク
③の矢印の場所が,三角形に見えます。
④の矢印の場所に円い黄の斑紋がありません。
《名の言われ》
マエキとは前黄の意味で前縁(①の矢印を頭部から翅の先端まで動かした部分)が黄色だからです。
トビとは一般に,タカ科トビの羽のような暗い茶色のことで,そのような色をしているからである。
エダとは,幼虫が枝に擬態するからです。
シャクとは,体を伸ばしたり,n字型に縮めたりして進む様子が長さを測っている(尺を取っている)ように見えるからである。
tag : マエキトビエダシャクオオマエキトビエダシャク
・ヤニを体にまとうヤニサシガメ

ヤニサシガメ 撮影日2012/5/14 福島県いわき市勿来の関にて
触角が短く太いのでまだ幼虫 これよりもっと細長くなる。
幼虫のときの腹部の丸みと黄色がヨコヅナサシガメとの区別点です。
幼虫のときから赤い斑点がどこにもない。
散歩しながら,外灯の近くの柵を探すとちょっと小柄なヤニサシガメがいます。この昆虫は主にアカマツやクロマツに生息し、小型昆虫を捕食するそうです。
そのヤニサシガメにとって勿来の関は住みやすい環境にあります。
第一にアカマツに生息すると言われている樹木が,勿来の関には至る所にあります。
第二に餌が豊富にあると思われるからです。なぜなら勿来の関には一晩中灯りがつ
いている外灯が4つもあって,その外灯の光に誘われて飛来してくる昆虫が多くいる
からです。
だから,昆虫を捕食しやすい外灯近くの柵にヤニサシガメは多いのでしょう。
上の写真を見るとこの幼虫の腹部が黄色くなっていることがお分かりでしょうか。それは,この昆虫がヤニのような物質を身にまとうからです。マツからはヤニが出るので,まさにヤニサシガメにとってマツは生活するのに好都合な植物なのです。
ところで,なぜヤニサシガメはヤニを体にまとうのでしょうか。
昆虫学者は,次のような仮説を立てています。
① ヤニでお互いを密着固定させ集団で寒さを防いでいる。
② ヤニの膜で少しでも寒さを防いでいる。
③ 体のヤニにエサとなる虫を付着させ捕食する。

撮影日 2012/5/18 場所:福島県いわき市勿来の関
ヤニサシガメの成虫 ごつごつした足が目立つ 赤い斑点は無い
触角が幼虫のときよりも細くその上長くなっている
このヤニサシガメは,大きく写そうとしてカメラを近付けたら地面に落ちて姿をくらましてしまいました。いかめしい姿からは想像できませんが,ヨコヅナサシガメもヤニサシガメも,人の姿を見ると逃げようとします。とても,昆虫の体液を吸って生きているとは思えない行動です。でも,それは天敵から逃れる優れた方法です。
tag : ヤニサシガメ
真っ赤なヨコヅナサシガメ
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真っ赤なヨコヅナサシガメ

撮影日2012/5/13 ①幼虫 ②羽化間もない成虫 ③成虫

羽化間もない成虫
「えっ。こんな真っ赤で大きいヨコヅナサシガメなんかいるの。」
と,思わず声を出してしまいました。毎日,散歩している途中,今日はどんな状態かなと思いながら桜の幹をのぞくと,大きな赤いヨコヅナサシガメがいたからです。今までは①のような幼虫と③のような成虫しかいませんでした。ところが,今朝は,筋だけが赤い透明な翅と鮮やかに赤く輝く胸部のヨコヅナサシガメが居たのです。しばらく,理解できませんでしたが,羽化したばかりだから赤い色をしているのだと気が付きました。
よく見ると早く羽化したと思われる黒ずんだ赤い色のヨコヅナサシガメもいました。おそらく羽化する時刻や速さに個体差があるのでしょう。

気温が低いときは集合して生活している
4月頃は,気温が低いので最初の写真が示しているように桜の幹の窪んだ所に集団で折り重なって過ごしています。昼間暖かければ,ばらばらになっていますが,気温が冷える頃になるとまた,元の場所に集まるようです。

羽化途中で災難にあい死骸となる④
前から気になっていたことがありました。それはヨコヅナサシガメの息絶えた個体が少しあったことでした。今日も体が赤いヨコヅナサシガメがいたので写真を撮りました。
しかし,いつもと様子が違うのです。今までは人が近付いたりカメラを向けたりすると必ず逃げたけれども今日は全然動かないのです。不審に思い赤い腹の部分に触れました。全く動きません。息絶えているのです。昆虫の体液を吸って生きているサシガメといえども,脱皮や羽化の時間帯は全くの無防備です。このときにクモや仲間に襲われたら死んでしまいます。この事実を物語っているのが④のサシガメです。もっと小さい幼虫のときにもこのようなことがあったので息絶えた死骸が集団生活している近くにあったのです。

「無事成虫になれたよ。」「よかったね。」「はい。」
体が大きいのでヨコヅナサシガメと呼ばれるのだと思っていました。
しかし,そうではなく腹部の周りにある白と黒の紋様が横綱が着けるまわしに似ているからだそうです。

横からのぞくと足の付け根と腹端に赤い斑点が見えます。
《観察ポイント》
①窪みのあるサクラの幹:高さは地上から2mくらいまでの幹
②雨や風を防げる樹皮がめくれているサクラの幹
③幼虫のときは体に赤い斑点がある。
真っ赤なヨコヅナサシガメ

撮影日2012/5/13 ①幼虫 ②羽化間もない成虫 ③成虫

羽化間もない成虫
「えっ。こんな真っ赤で大きいヨコヅナサシガメなんかいるの。」
と,思わず声を出してしまいました。毎日,散歩している途中,今日はどんな状態かなと思いながら桜の幹をのぞくと,大きな赤いヨコヅナサシガメがいたからです。今までは①のような幼虫と③のような成虫しかいませんでした。ところが,今朝は,筋だけが赤い透明な翅と鮮やかに赤く輝く胸部のヨコヅナサシガメが居たのです。しばらく,理解できませんでしたが,羽化したばかりだから赤い色をしているのだと気が付きました。
よく見ると早く羽化したと思われる黒ずんだ赤い色のヨコヅナサシガメもいました。おそらく羽化する時刻や速さに個体差があるのでしょう。

気温が低いときは集合して生活している
4月頃は,気温が低いので最初の写真が示しているように桜の幹の窪んだ所に集団で折り重なって過ごしています。昼間暖かければ,ばらばらになっていますが,気温が冷える頃になるとまた,元の場所に集まるようです。

羽化途中で災難にあい死骸となる④
前から気になっていたことがありました。それはヨコヅナサシガメの息絶えた個体が少しあったことでした。今日も体が赤いヨコヅナサシガメがいたので写真を撮りました。
しかし,いつもと様子が違うのです。今までは人が近付いたりカメラを向けたりすると必ず逃げたけれども今日は全然動かないのです。不審に思い赤い腹の部分に触れました。全く動きません。息絶えているのです。昆虫の体液を吸って生きているサシガメといえども,脱皮や羽化の時間帯は全くの無防備です。このときにクモや仲間に襲われたら死んでしまいます。この事実を物語っているのが④のサシガメです。もっと小さい幼虫のときにもこのようなことがあったので息絶えた死骸が集団生活している近くにあったのです。

「無事成虫になれたよ。」「よかったね。」「はい。」
体が大きいのでヨコヅナサシガメと呼ばれるのだと思っていました。
しかし,そうではなく腹部の周りにある白と黒の紋様が横綱が着けるまわしに似ているからだそうです。

横からのぞくと足の付け根と腹端に赤い斑点が見えます。
《観察ポイント》
①窪みのあるサクラの幹:高さは地上から2mくらいまでの幹
②雨や風を防げる樹皮がめくれているサクラの幹
③幼虫のときは体に赤い斑点がある。
tag : 真っ赤なヨコヅナサシガメ
アケビコノハ 木の葉そっくり
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アケビコノハ 木の葉そっくり

撮影日2012/5/11,前翅長48mm,福島県いわき市勿来の関にて
枯葉そっくりのアケビコノハ(ヤガ科)
「あれっ。木の葉がこんな所にある。」
と思っただけで見過ごす所でした。何しろ枯れた葉そっくりの色で葉脈まであるのですから落ち葉だと思ってしまいました。よく見たら足が出ているではありませんか。これは蛾です。落ち葉ではありません。擬態の見事さにしばし見とれてしまいました。逃げないようにそっと写真を撮りました。フラッシュに驚き逃げてしまわないように,たかずに撮りたかったのですが,暗いのでやむを得ずたきました。
幸運にもじっとしていたので助かりました。すばやく,ビニル袋を取り出し,中に入れて持ち帰りました。Web図鑑でこの蛾の名前が「アケビコノハ」だと分かりました。幼虫の餌となる植物は,アケビやミツバアケビです。ここ勿来の関には,ミツバアケビが至る所で見られますので,この蛾が生息しているのは納得できます。
家に帰ってから早速,戸を閉めアケビコノハを放しました。すると,明るい窓に向かって飛んでいきました。そのとき,後翅の鮮やかな黄色が目を惹きました。運良く翅を広げたままで止まってくれたので目玉模様を写すことができました。
この目玉模様は天敵(恐らく鳥)に襲われたときに前翅をぱっと広げて驚かそうと武装しているのだそうです。次の手まで考えているとは、感心してしまいます。

天敵を驚かす目玉模様
このように,アケビコノハは天敵から逃れるために二段構えで備えているのです。
一つは,枯葉に化け見つかりにくくしています。
次に,見つかったときのことを考えて目玉模様をした後翅を隠しています。


サイに似た顔のアケビコノハ
顔の写真を見ていると何かサイに似ている気がします。長く突き出た物は下唇鬚(かしんしゅ)といいます。左右二つに分かれています。「ある蛾屋の記録」には,次のように説明されています。「この器官は触角同様に匂いを感じ取ることができたり、複眼を掃除する役目もになっているようです。」
アケビコノハ 木の葉そっくり

撮影日2012/5/11,前翅長48mm,福島県いわき市勿来の関にて
枯葉そっくりのアケビコノハ(ヤガ科)
「あれっ。木の葉がこんな所にある。」
と思っただけで見過ごす所でした。何しろ枯れた葉そっくりの色で葉脈まであるのですから落ち葉だと思ってしまいました。よく見たら足が出ているではありませんか。これは蛾です。落ち葉ではありません。擬態の見事さにしばし見とれてしまいました。逃げないようにそっと写真を撮りました。フラッシュに驚き逃げてしまわないように,たかずに撮りたかったのですが,暗いのでやむを得ずたきました。
幸運にもじっとしていたので助かりました。すばやく,ビニル袋を取り出し,中に入れて持ち帰りました。Web図鑑でこの蛾の名前が「アケビコノハ」だと分かりました。幼虫の餌となる植物は,アケビやミツバアケビです。ここ勿来の関には,ミツバアケビが至る所で見られますので,この蛾が生息しているのは納得できます。
家に帰ってから早速,戸を閉めアケビコノハを放しました。すると,明るい窓に向かって飛んでいきました。そのとき,後翅の鮮やかな黄色が目を惹きました。運良く翅を広げたままで止まってくれたので目玉模様を写すことができました。
この目玉模様は天敵(恐らく鳥)に襲われたときに前翅をぱっと広げて驚かそうと武装しているのだそうです。次の手まで考えているとは、感心してしまいます。

天敵を驚かす目玉模様
このように,アケビコノハは天敵から逃れるために二段構えで備えているのです。
一つは,枯葉に化け見つかりにくくしています。
次に,見つかったときのことを考えて目玉模様をした後翅を隠しています。


サイに似た顔のアケビコノハ
顔の写真を見ていると何かサイに似ている気がします。長く突き出た物は下唇鬚(かしんしゅ)といいます。左右二つに分かれています。「ある蛾屋の記録」には,次のように説明されています。「この器官は触角同様に匂いを感じ取ることができたり、複眼を掃除する役目もになっているようです。」
tag : アケビコノハ
・準備運動するモントガリバ 体温上昇をはかる
準備運動するモントガリバ 体温上昇をはかる

撮影日・前翅長・場所:2012/5/9 18mm 福島県いわき市勿来の関
薄桃色が魅力的なモントガリバ(カギバガ科)
蛍光灯の枠に止まっていたモントガリバは,翅を閉じていたので見過ごすところでした。光がまぶしくて黒ずんで見えましたが,よく見るとあまり見慣れない蛾でした。
高い所にいて写真が取れないので,近くにあるススキを使うことにしました。下の方からゆっくりススキの先を近付け蛾につかんでもらうのです。オカモトトゲエダシャクを移動させたときの方法を使いました。
幸い5月9日の朝は前日の寒波が居座っていて寒い朝でしたのでこの方法で大丈夫でした。寒いと飛べないのです。(でも,不思議にもシャクガ科の蛾は,例外で逃げてしまいます。)ススキに乗り移った蛾を柱に止まるようにそっと外縁を押しながら動かしました。
さっそく,記念写真を上・斜め・横と角度を変えて撮り始めました。
すると,まぶしいフラッシュに驚いたのか翅を小刻みに動かし始めたのです。これは大変です。今までの経験でこの運動をした後は必ず飛んで行ってしまうことが観察されていたからです。小刻みに翅を動かす羽ばたき運動をすることによって体温を上げ飛んでいけるようにしているのです。素早くポケットからビニル袋を取り出し中に入れました。写真では白く見える部分がわずかに桃色に染まっている奇麗な蛾なので標本にしたかったのです。

2回目に出会ったモントガリバ(2012/5/15 17mm いわき市勿来の関にて)
翅を閉じ気味にして止まるモントガリバ
目が大きくて可愛い

撮影日・前翅長・場所:2012/5/9 18mm 福島県いわき市勿来の関
薄桃色が魅力的なモントガリバ(カギバガ科)
蛍光灯の枠に止まっていたモントガリバは,翅を閉じていたので見過ごすところでした。光がまぶしくて黒ずんで見えましたが,よく見るとあまり見慣れない蛾でした。
高い所にいて写真が取れないので,近くにあるススキを使うことにしました。下の方からゆっくりススキの先を近付け蛾につかんでもらうのです。オカモトトゲエダシャクを移動させたときの方法を使いました。
幸い5月9日の朝は前日の寒波が居座っていて寒い朝でしたのでこの方法で大丈夫でした。寒いと飛べないのです。(でも,不思議にもシャクガ科の蛾は,例外で逃げてしまいます。)ススキに乗り移った蛾を柱に止まるようにそっと外縁を押しながら動かしました。
さっそく,記念写真を上・斜め・横と角度を変えて撮り始めました。
すると,まぶしいフラッシュに驚いたのか翅を小刻みに動かし始めたのです。これは大変です。今までの経験でこの運動をした後は必ず飛んで行ってしまうことが観察されていたからです。小刻みに翅を動かす羽ばたき運動をすることによって体温を上げ飛んでいけるようにしているのです。素早くポケットからビニル袋を取り出し中に入れました。写真では白く見える部分がわずかに桃色に染まっている奇麗な蛾なので標本にしたかったのです。

2回目に出会ったモントガリバ(2012/5/15 17mm いわき市勿来の関にて)
翅を閉じ気味にして止まるモントガリバ
目が大きくて可愛い
tag : モントガリバ
つぶらな瞳で可愛いオカモトトゲエダシャクのトゲの謎
つぶらな瞳で可愛いオカモトトゲエダシャクのトゲの謎

下に落ちたオカモトトゲエダシャク(シャクガ科)

鉢巻きしているように見えるオカモトトゲエダシャク
2012/3/23撮影 前翅長20mm前後 福島県いわき市勿来の関にて
今年(2012年)の冬は寒い日が続き,2月頃はほとんど蛾は見られませんでしたが,3月14日頃からやっと様々な蛾が見られるようになってきました。
今日(3/14),蛍光灯に見慣れない蛾がしがみついているのを見つけました。高くて手が届かないので枯れたススキを利用して,撮りやすい所に移そうと考えました。ゆっくりと下から近付けて蛾がススキに止まるように動かします。このようにしても寒い時期の蛾は驚いて逃げ去ることはありません。羽ばたくには体温がある温度以上にならないとできないようだからです。
さっそくやってみると,上手くつかめず下に落ちてしまいました。上・斜め横上・前からといろいろ角度を変えて写真を撮りました。パソコンで拡大された写真を見て嬉しくなりました。未だ,見たことがない珍しい蛾だったからです。
名前はそう簡単には分かりませんでした。それはこの蛾が前翅や後翅を折り畳んでいたからです。Web図鑑の中に標本写真(翅を展開していない写真)でないものがあったので助かりました。やっと探し出した蛾の名前は「オカモトトゲエダシャク」です。
「オカモト」は恐らく命名者の名前だろうと思い調べましたが,それらしい学者の名は見当たりませんでした。
次に,「トゲ」が気になりました。私も一寸野虫さんと同じく「トゲ」という言葉に疑問を持ちました。体のどこかの部分にトゲがあるからだろうと思いました。すぐ思い付いたのは足のトゲです。正面から写した写真にも足から枝のようなトゲが見られます。
でも,このようなトゲはほとんどの蛾の足に付いていますので,特別トゲと名前に付けるはずはありません。
そのうち,真神ゆさんのブログ:「Faunas & Floras Phase2 : Wake up♯180 トゲの謎」を拝見致しまして,その訳が分かりました。それは幼虫のとき,背面にトゲが見られるからこの名(トゲ)が付いたのです。
シロトゲエダシャクもキイロトゲエダシャクもクワトゲエダシャクも同じく幼虫の時期に背面にトゲを持つので,名に「トゲ」がつくのだと気が付きました。
幼虫の時の特徴をよく観察して命名していたとは思ってもみませんでした。
ところで,オカモトトゲエダシャクの顔の写真を撮りましたが,マントヒヒの顔ように見え気になりました。それは,黒くて円い斑紋がマントヒヒの鼻の穴に見えたからです。そこで,どのオカモトトゲエダシャクの顔にもそのような斑紋があるのか知りたくなりました。掲示板を利用させて頂いたところ,私が写した蛾と同じく斑紋がありました。
nabeさんにが「この黒い斑紋に見えるものは,下唇鬚だと思われる。」と言われたので,また疑問がわいてきました。私は細い棒状の突起物だけが,下唇鬚だとばかり思っていたからです。これがどのようになっているのか確かめたくなりました。
翌日,勿来の関に行くとオカモトトゲエダシャクが昨日と同じ場所にいたので,マツの葉で触ってみると何か黒くて固い物質が毛の上に付いている感じでした。このような形状の下唇鬚が存在するのが驚きです。

つぶらな瞳が可愛い こんな目で見つめられたら・・・
最後に,前の方から写したよい写真がなかったので角度を少しずつ変えながら撮りました。できあがった写真には,目が大きいつぶらな瞳が可愛いオカモトトゲエダシャクが写っていました。

下に落ちたオカモトトゲエダシャク(シャクガ科)

鉢巻きしているように見えるオカモトトゲエダシャク
2012/3/23撮影 前翅長20mm前後 福島県いわき市勿来の関にて
今年(2012年)の冬は寒い日が続き,2月頃はほとんど蛾は見られませんでしたが,3月14日頃からやっと様々な蛾が見られるようになってきました。
今日(3/14),蛍光灯に見慣れない蛾がしがみついているのを見つけました。高くて手が届かないので枯れたススキを利用して,撮りやすい所に移そうと考えました。ゆっくりと下から近付けて蛾がススキに止まるように動かします。このようにしても寒い時期の蛾は驚いて逃げ去ることはありません。羽ばたくには体温がある温度以上にならないとできないようだからです。
さっそくやってみると,上手くつかめず下に落ちてしまいました。上・斜め横上・前からといろいろ角度を変えて写真を撮りました。パソコンで拡大された写真を見て嬉しくなりました。未だ,見たことがない珍しい蛾だったからです。
名前はそう簡単には分かりませんでした。それはこの蛾が前翅や後翅を折り畳んでいたからです。Web図鑑の中に標本写真(翅を展開していない写真)でないものがあったので助かりました。やっと探し出した蛾の名前は「オカモトトゲエダシャク」です。
「オカモト」は恐らく命名者の名前だろうと思い調べましたが,それらしい学者の名は見当たりませんでした。
次に,「トゲ」が気になりました。私も一寸野虫さんと同じく「トゲ」という言葉に疑問を持ちました。体のどこかの部分にトゲがあるからだろうと思いました。すぐ思い付いたのは足のトゲです。正面から写した写真にも足から枝のようなトゲが見られます。
でも,このようなトゲはほとんどの蛾の足に付いていますので,特別トゲと名前に付けるはずはありません。
そのうち,真神ゆさんのブログ:「Faunas & Floras Phase2 : Wake up♯180 トゲの謎」を拝見致しまして,その訳が分かりました。それは幼虫のとき,背面にトゲが見られるからこの名(トゲ)が付いたのです。
シロトゲエダシャクもキイロトゲエダシャクもクワトゲエダシャクも同じく幼虫の時期に背面にトゲを持つので,名に「トゲ」がつくのだと気が付きました。
幼虫の時の特徴をよく観察して命名していたとは思ってもみませんでした。
ところで,オカモトトゲエダシャクの顔の写真を撮りましたが,マントヒヒの顔ように見え気になりました。それは,黒くて円い斑紋がマントヒヒの鼻の穴に見えたからです。そこで,どのオカモトトゲエダシャクの顔にもそのような斑紋があるのか知りたくなりました。掲示板を利用させて頂いたところ,私が写した蛾と同じく斑紋がありました。
nabeさんにが「この黒い斑紋に見えるものは,下唇鬚だと思われる。」と言われたので,また疑問がわいてきました。私は細い棒状の突起物だけが,下唇鬚だとばかり思っていたからです。これがどのようになっているのか確かめたくなりました。
翌日,勿来の関に行くとオカモトトゲエダシャクが昨日と同じ場所にいたので,マツの葉で触ってみると何か黒くて固い物質が毛の上に付いている感じでした。このような形状の下唇鬚が存在するのが驚きです。

つぶらな瞳が可愛い こんな目で見つめられたら・・・
最後に,前の方から写したよい写真がなかったので角度を少しずつ変えながら撮りました。できあがった写真には,目が大きいつぶらな瞳が可愛いオカモトトゲエダシャクが写っていました。
tag : オカモトトゲエダシャク